ロバート・オウエンは、サン・シモン、フリーエとともにユートピア社会主義者と呼ばれ、彼らの思想はマルクス、エンゲルスから、彼らが主張する共産主義の唯物史観からは大きく外れるもので、幻想(ユートピア)にすぎないとして、厳しく批判に晒された。エンゲルスによる批判の論点は、大きく以下の点であった。
彼らが、3人ともプロレタリアートの真の代弁者でないこと、資本主義発展の未成熟さに対応して彼らの理論も未成熟であり、そのため新しい社会の成立を歴史発展の必然的結果でなしに、頭のなかで作り上げる必要があったこと、それゆえ彼らの未来社会の構想ははじめからユートピアになる運命にあったと指摘している[1]。
一方でエンゲルスは、「ユートピア社会主義は、資本主義経済の発達がまだ幼弱な時代において、早くもその諸矛盾を指摘、告発し、資本主義経済の底辺にある勤労階級の視座から、それらの諸矛盾を克服するための諸方策を提出した。」[2]とも語っており、ユートピア社会主義に一定の評価を与えることも忘れてなかったのである。