コミュナル・リビング(Communal Living)を考える

高齢化・人口減少社会における新しい暮らし方、共同体的な暮らし方(コミュナル・リビング)について、さまざまな視点から考察します

コミュニティ・リビングとしての「避難所」

豪雨や台風、地震などにより、自宅を離れざるを得なくなり、避難所で多数の人々と生活する。これは、ある意味で究極ともいえる「コミュニティ・リビング」の一形態だ。 

本ブログで取り上げようと考える「コミュニティ・リビング」の多くは、そこに集う人々に何らかの自発的な意思が存在し、それに基づいて築かれたものである。 しかし「避難所」に集う人々は、そこに自発的に集まったものではない。災害から避難するために、もしくは被災により、結果としてそこにやって来ざるを得なかった人々が集う共同生活の場となっている。 

「避難所」における生活の困難さは容易に想像できる。食事や睡眠、排泄、衛生問題、プライバシーなど、殆ど自分でコントロール出来ない環境下での生活は、疲労やフラストレーションをもたらすだろう。

「避難所」における生活の問題点は、逆にあり得べき「コミュニティ・リビング」の姿を考えるに当たり、参考になるはずだ。

福島大学理工学群共生システム理工学類、永幡幸司准教授による新潟県中越地震の際の(旧)山古志村の被災者を対象に行った避難所生活における各生活環境要素に対する愁訴の調査によると、上位を占めたのは、「生活空間の広さ」「プライバシーの確保 」「風呂」「避難所の温度」「トイレ 」「音 」などの問題であった。(「避難所における生活環境の問題とストレスとの関係について」永幡幸司 、金子信也、 福島哲仁)

またこの調査結果によると、トイレや風呂といった設備面でのストレスよりも、生活空間の広さから生じる音の問題、プライバシーの確保の方が、大きなストレスを引き起こしているという。そして、避難所の形状に着目すると、セミナーハウスなど小型の施設の方がストレスを引き起こす割合は低くなり、大型の体育館の方が、音の問題、においの問題、トイレの問題、プライバシー確保の問題、いずれにおいても愁訴率が高くなっていたそうだ。 

確かに、大人数で生活する大部屋よりも、ある程度の固まりの人数に分散して生活している方が、ストレスが少なくなりそうというのは理解出来る話だ。しかし、物理的に用意出来るの避難所がが大型の体育館しかない場合、いかにしてこのストレスを削減するかが大きな課題となる。 

この課題に対して、一定の解決策を提示しているのが、建築家坂茂さんによる紙管と布を使った避難用間仕切システムである。 坂茂は、プライバシーの確保は人権問題であると語る。

「だって、プライバシーって、人間にとって必要最低限な人権じゃないですか。プライバシーがない避難所を避けて車中泊して、エコノミークラス症候群になるなど命に関わることもあります。避難所にプライバシーがないと気づいたのは阪神の時でしたが、20年異常経っても避難所の雑魚寝の風景は変わっていません」(朝日新聞2018913日)

共同避難生活を営んで行く上で、ないがしろにされがちなプライバシーの確保に対する大きな問題定義がここでなされている。


はじめに コミュニティ・リビングとは何か?

このブログでは、人口減少社会における新しい暮らし方、Community Living(コミュニティ・リビング)について、さまざまな視点より考察していきたいと考えています。言ってみれば、これは私自身の備忘録のようなものになると思いますが、ご興味ある方はお目通しいただけると幸いです。


まず、ここで最初に説明しなければならないのは、「コミュニティ・リビング」とは一体何の事を指しているのか、ということでしょう。

 

実は、これについては私自身もまだはっきりした概念の定義を持っているわけではありません。しかし、いわゆる血縁家族で構成された家族世帯ではなく、血縁、婚姻関係以外のさまざまな人同士が何らかの理由に基づいて生活を共同する(世帯を同じくする)暮らし方を狭義の意味での「コミュニティ・リビング」として捉えてみたいと思っています。


最近注目されているルームシェアという暮らし方もこの範疇に入るでしょう。

これを狭義の「コミュニティ・リビング」だとすると、一方で、広義の「コミュニティ・リビング」は、世帯構成員にこだわるのでは無く、広く地域社会に住まう人々の間で、相互交流や共助の仕組みを築くことにより、密度の高いコミュニケーションのやりとりを行う行為を指します。これも近年高齢化が進む中で、地域包括ケアの街づくりなどがテーマとなっておりますが、このような動きも「コミュニティ・リビング」として捉えてみたいと考えています。

いってみれば、血縁、婚姻ではなく、極端に言うと縁もゆかりもない人々が、地域や同じ家屋の中で何らかの協力を行いながら住まう住まい方、これを「コミュニティ・リビング」というキーワードでくくってみたいと考えています。

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